OpenClaw 3.7 は、リブランド以来最大のリリースだ。モデル、多言語対応、安定性、プラグインアーキテクチャ——全部まとめて手が入った。
モデルエコシステム:GPT-5.4 と Gemini 3.1 Flash-Lite、リリース即日対応
3月5日、OpenAI が GPT-5.4 をリリース。OpenClaw は翌日にはマージ完了。3月3日に Google が Gemini 3.1 Flash-Lite Preview を公開、48時間以内に動いた。
この速さは、誰かがニュースを張って待っていたからじゃない。Model Providers レイヤーがそういう設計になっているからだ。新しいモデルの追加はスコープが明確で、ドキュメントも整っている。プロバイダーが API スペックを出した瞬間、コミュニティの誰かが PR を開ける。外から見るとベンダーとの連携に見えるが、実態はコントリビューターのパイプラインがうまく回っているだけだ。
なぜ重要か
agent フレームワークを選ぶとき、一番困るのは「新しいモデルが出たのにフレームワークが何週間も対応しない」という状況だ。OpenClaw は初日〜翌日対応の実績を積み上げてきた。これは地味だけど効く:
| モデル | プロバイダー公開 | OpenClaw 対応 | 差 |
|---|---|---|---|
| GPT-5.4 | 3月5日 | 3月6日 | 1日 |
| Gemini 3.1 Flash-Lite | 3月3日 | 3月5日 | 2日 |
プロバイダー抽象がきれいで、コミュニティが主要ラボを全部カバーできる規模。仕掛けはそれだけ。
多言語 UI:スペイン語、ドイツ語、そして賢くなった検索
Control UI にスペイン語とドイツ語が入った。コミュニティメンバー @DaoPromociones による貢献(PR #35038)。ロケール自動検出、翻訳バンドルの遅延読み込み、言語ピッカーの対応——一通り揃っている。
UI だけじゃない。全文検索エンジンも改善された。スペイン語、ポルトガル語、日本語、韓国語、アラビア語のストップワードとトークナイゼーションが正しく処理されるようになり、英語以外で agent を使うユーザーの検索精度が上がった。
もっと大きな話
GitHub スター28万超、コントリビューター1,100人以上、全大陸から参加。ユーザーベースはとっくにグローバル化していたのに、ツールチェーンだけ英語のままだった。ロケール追加は将来への賭けじゃなく、溜まっていた借りを返す作業だ。
200以上のバグ修正:本番トラフィックがソフトウェアにすること
バグ修正200件超。「品質が悪い」とも読めるし、「本番で使う人が増えてエッジケースが全部見つかった」とも読める。何が直ったか見れば、どちらかわかる:
- •プラグインコマンドの検証:不正なコマンド定義で起動がクラッシュ。登録時にバリデーション追加。
- •Telegram ゲートウェイ:アカウントトークン未設定で
token.trim()がエラー。null ガード追加。 - •TLS ペアリング:ローカル自己接続でもデバイスペアリングが強制され、Docker や LAN 環境が壊れていた。ローカルパスはスキップに修正。
- •設定変数の展開:未解決の
${VAR}プレースホルダーでハードエラー。警告付きのデグレードモードに変更、ただし未解決のまま認証情報として通すことはない。
お化粧直しじゃない。「週末の面白プロジェクト」から「みんなが依存しているもの」に変わるとき、こういう修正が必要になる。
ContextEngine:3.7 の本当の主役
3.7 で一番大きいのは ContextEngine プラグインインターフェースだ。スロットベースのシステムで、サードパーティプラグインがセッションコンテキストの取り込み・組み立て・圧縮を丸ごと引き受けられる。
アーキテクチャとライフサイクルフック、初期エコシステムについては別記事で詳しく書いた。短く言えば:組み込みのスライディングウィンドウ圧縮を、きれいに差し替えられるようになった。すでに Lossless-Claw(DAG ベースの要約)や MemOS Cloud Plugin(永続的なセッション間メモリ)が出ている。
3.7 で一つだけ覚えるなら、これだ。
数字で見る
| 指標 | 3.7 前 | 3.7 後 |
|---|---|---|
| GitHub Stars | 266,500 | 282,300+ |
| コントリビューター | 1,108 | 1,164 |
| 総コミット数 | 16,992 | 17,781 |
| モデルプロバイダー | 30+ | 30+(GPT-5.4、Gemini 3.1 追加) |
| Control UI 言語 | 12 | 14(+es、+de) |
この先
ContextEngine は土台ができた。この上に何が建つかが面白い。RAG 対応のコンテキスト組み立て、マルチエージェント共有メモリ、トークン予算最適化の圧縮戦略——どれもすでに動き出している。
3.7 は派手な目玉機能で注目を集めるタイプのリリースじゃない。その後のすべてに道を開くタイプだ。モデル対応がもっと速く、言語カバーがもっと広く、土台がもっと堅く、コアがもっと柔軟に。地味だけど、大事なリリースはだいたいそういうものだ。